下肢静脈瘤とは
脚の比較的太い静脈弁(血液の逆流を防止している弁)が適切に閉じなくなり、本来なら心臓に還っていくはずの血液を脚の静脈に溜めてしまい、そのために血管が次第に拡張して、まるで水風船のように膨らみ、青く浮き出てしまう疾患です。
静脈弁は、脚の付け根や膝の裏側など、太い静脈の合流部で調子が悪くなりやすく、これが原因となって血液が逆流して脚の下方に溜まり、静脈が瘤のように膨らんでしまうのです。
下肢静脈瘤の主な症状
- 脚に血管の瘤がある
- 脚が重い
- 脚が痛い
- 脚が疲れやすい
- 脚がむくむ
- 脚がつる
- 脚の皮膚が変色した
- 脚の皮膚が痒い
- 脚の皮膚から出血がある
- 脚の皮膚に潰瘍ができている など
下肢静脈瘤の検査
視診・触診ほか、必要に応じて「下肢静脈エコー検査」を行います。超音波を使用したこの検査により、どこの静脈にどの程度の逆流があるのかを調べ、治療が必要かどうかを判断します。
下肢静脈瘤の治療
当クリニックにおける下肢静脈瘤の治療法は、主に下表の4種類です。
高周波アブレーションカテーテル治療
高周波アブレーションカテーテルを下肢静脈瘤内に挿入し、カテーテルから放射される熱エネルギーの力で静脈壁を収縮、静脈を閉塞させる、最新の治療法です(保険適応)。治療は外来で行え、局所麻酔をかけ、カテーテルを差し込むための小さな穴を開けるだけで済んでしまって負担が軽く、術後の痛みや炎症、内出血なども少ないのが特長です。治療時間は、20〜30分程度(片足)で「日帰り手術」が可能です。
ストリッピング手術
脚のつけ根と膝の内側2ヶ所を切って、静脈の中に細いワイヤーを入れ、ワイヤーごと静脈を引き抜く方法です。血液は、脚の他の静脈を通って心臓に戻っていくので、問題は生じません。輸血の必要も無く、とても安全な手術であり、術中・術後の副作用も稀です。下肢静脈瘤の再発率も低く抑えられます(保険適応)。
硬化療法
静脈に血管を固める薬(硬化剤)を注入し、弾性包帯で皮膚の上から圧迫して血管を閉塞させる治療法です。患部の静脈を閉塞させると、血液は正常な静脈を流れるようになって、症状が改善します。比較的細い静脈瘤に有効です(保険適応)。
圧迫療法(弾性ストッキング)
医療用弾性ストッキングは、普通のストッキングとは違う特殊な編み方でつくられており、足を強く圧迫します。静脈瘤を含めた表面の静脈はしっかり圧迫され、血液が心臓に戻りやすくなります。自分の体に合ったサイズと強さの弾性ストッキングを着用すれば、静脈瘤の進行はある程度止まります。
※診察は保険適応ですが、弾性ストッキングのご購入費用は保険適応外です。